Excel×ChatGPTで3年分の見積データを分析|製造業の需要傾向を見える化してみた

製造業で仕事をしていると、日々たくさんの見積依頼が入ってきます。

弊社でも、見積書はExcelで作成して保存しています。

しかし数年分が蓄積すると、

  • 最近どの製品の見積が増えているのか
  • 同じ部品が何回見積されているのか
  • 去年と今年で依頼内容がどう変わったのか
  • 今後増えそうな仕事は何なのか

といったことを確認するのは意外と大変です。

そこで今回は、2024年・2025年・2026年の3年分の見積書をChatGPTで集計・分析してみました。

その結果、単純な見積件数だけでは分からなかった、かなり面白い傾向が見えてきました。

※この記事では会社情報保護のため、実際の顧客名・製品品番・部品番号・具体的な見積金額は公開していません。
※2026年は10月1日までのデータです。


目次

もともとのExcelは「1シート=1見積書」

弊社で使用している見積データは、専用の分析システムではありません。

通常業務で使用しているExcelで、

1つのシートに1件の見積書

という形で保存されています。

見積書の中には、

  • 見積日
  • 製品品番
  • 部品番号
  • 数量
  • 単価
  • 見積金額
  • 案件番号

などが記載されています。

1件ずつ確認するには問題ありません。

しかし3年間になると、見積書は1,000件を超えてきます。

さすがに、

「この部品、去年何回見積した?」

と人がExcelを1枚ずつ確認するのは現実的ではありません。

そこでChatGPTを使って、全シートの情報を一覧化することにしました。


最初は「品番ごとの見積回数」を集計

まず行ったのは、

製品品番ごとの見積回数

の集計です。

これだけでも、

「どの製品について問い合わせが多いのか」

はかなり分かりやすくなりました。

しかし分析を進めていくと、1つ問題が出てきました。

同じ製品品番でも、実際に見積している金型部品は複数あるからです。

例えば、

  • COREPIN
  • LANCEPIN
  • SLIDE CORE
  • その他の入れ子部品

などがあります。

製品品番だけを見ていると、

「その製品の中で、実際にどの部品の需要が増えているのか」

までは分かりません。


「品番 × 部品番号」で分析してみた

そこで次は、

製品品番 × 部品番号

の組み合わせで見積回数を集計しました。

例えば、

  • A品番 × 部品①
  • A品番 × 部品②
  • B品番 × 部品①

という形です。

これによって、

「A品番の見積が増えている」

だけではなく、

「A品番の中でも、特に部品①の見積が急増している」

ところまで確認できるようになりました。

これはかなり重要でした。

「2024~2026年 見積件数の推移」

3年間の見積件数を比較

まず、3年間の全体を比較してみました。

年見積書数部品明細数品番数品番×部品番号数
2024年351件754件72429
2025年419件765件92449
2026年※447件614件56305

※2026年は10月1日まで。

ここで最初に驚いたのが、

2026年はまだ年の途中なのに、見積書数が2024年・2025年の年間件数をすでに上回っている

ことです。

ただし、2026年は途中経過なので、この数字だけで比較すると公平ではありません。

そこで、3年間とも1~9月に条件をそろえて比較しました。


1~9月で比較すると見積書数は約38%増加1月~9月で比較した結果がこちらです。

項目2024年2025年2026年2025→2026
見積書数270324446+37.7%
部品明細数595597613+2.7%
見積金額―――+21.5%
品番数587556-25.3%
品番×部品番号数355357305-14.6%

2025年から2026年にかけて、

見積書数は37.7%増加

していました。

かなり大きな増加です。

しかし、ここからが今回の分析で一番面白かったところです。


見積は増えたのに「部品の種類」は減っていた

普通に考えると、

「見積件数が増えているなら、扱っている部品の種類も増えているのでは?」

と思います。

ところが実際には逆でした。

2025年から2026年では、

  • 品番数:25.3%減少
  • 品番×部品番号数:14.6%減少

しています。

一方、

見積書数は37.7%増加

しています。

つまり2026年は、

新しい種類の部品が次々と増えたのではなく、
特定の製品・特定の部品について繰り返し見積依頼が増えている

可能性が高いことが分かりました。

Excelの見積書を1枚ずつ眺めているだけでは、なかなか気付けない変化です。

「見積件数は増加・品番種類は減少」

グラフでは、

  • 見積書数:+37.7%
  • 品番数:-25.3%
  • 品番×部品番号数:-14.6%

を並べると非常に分かりやすくなります。


特定製品への見積集中が大きくなっている

実際に製品単位で調べてみると、特定の主力品番への集中が確認できました。

実際の品番は公開できないため、ここでは「A品番」とします。

1~9月で比較すると、

年A品番の見積全見積割合
2024年57件270件21.1%
2025年53件324件16.4%
2026年158件446件35.4%

2026年は、

見積書のおよそ3件に1件が同じ製品関連

という結果になりました。

これはかなり大きな変化です。


部品番号まで分析すると、さらに違いが見える

さらにA品番の中を部品番号別に分析しました。

実際の部品番号は伏せて、部品①~⑤としています。

部品2024年2025年2026年
部品①11923
部品②101016
部品③8814
部品④7113
部品⑤10210

特に部品①は、

2025年9回 → 2026年23回

と約2.6倍になっています。

さらに部品④は、

1回 → 13回

と大幅に増えています。

単純に、

「A品番の仕事が増えた」

だけではなく、

A品番の中でも特定の金型部品の見積が集中して増えている

ことまで分かりました。


2026年になって突然増え始めた部品もあった

3年間を比較すると、

2024年・2025年にはほとんど見積されていなかったのに、

2026年になって急に見積依頼が増えた部品

も見つかりました。

こうした部品は、今後を考えるうえで非常に興味があります。

もちろん、

見積が増えた=受注が増える

とは限りません。

しかし、

「最近何度も問い合わせされるようになった部品」

は、将来の受注候補を考える材料の1つになります。

売上データだけを分析していると、こうした変化が分かるのは受注した後です。

見積データなら、

受注より前の段階で需要の変化を確認できる

可能性があります。


金型部品の種類別にも変化があった

次に、部品名称から大きく分類してみました。

今回は、

  • COREPIN系
  • LANCEPIN系
  • SLIDE CORE系

の3種類を比較しました。

1~9月の見積件数は次の通りです。

部品分類2024年2025年2026年2025→2026
COREPIN系271251248-1.2%
LANCEPIN系159154194+26.0%
SLIDE CORE系8810169-31.7%

ここでも大きな違いがありました。

特に、

LANCEPIN系は26%増加

しています。

一方、

SLIDE CORE系は約32%減少

しています。

画像タイトル:「金型部品分類別の見積件数比較」

COREPIN・LANCEPIN・SLIDE COREを3年間並べた棒グラフにすると分かりやすいです。


この分析は営業だけではなく製造側にも使えそう

この結果は、

「営業の見積件数が増えた」

というだけの話ではありません。

例えばLANCEPIN系の問い合わせが継続的に増えているのであれば、

  • どの加工機を多く使うのか
  • 社内加工と外注の割合
  • 作業者の負荷
  • 加工時間
  • 必要な設備
  • 工具・電極の使用量

などにも影響します。

つまり見積データは、

営業だけではなく、生産計画や設備計画にも活用できる可能性があります。


見積書1件あたりの部品数も変化

もう1つ面白かったのが、

見積書1件あたりの部品明細数

です。

おおよそ、

  • 2024年:約2.20部品
  • 2025年:約1.84部品
  • 2026年:約1.37部品

となりました。

年々少なくなっています。

以前は、

「複数の部品をまとめて1枚の見積書」

だったものが、

最近は、

1部品ごとに細かく見積依頼されるケースが増えている

可能性があります。

これなら、

「見積書の枚数は大幅に増えたのに、部品明細数はそれほど増えていない」

という結果とも一致します。


普通のExcelでもChatGPTを使えば分析できた

今回特に良かったのは、

最初から分析用に作られたデータでなくても使えた

ことです。

元になったのは、普段業務で使用している普通のExcel見積書です。

そこからChatGPTを使い、

  1. 全シートを確認
  2. 見積日を抽出
  3. 製品品番を抽出
  4. 部品番号を抽出
  5. 数量を抽出
  6. 単価・金額を抽出
  7. 一覧データ化
  8. 月別集計
  9. 年別集計
  10. 品番別集計
  11. 品番×部品番号集計
  12. 3年間の比較

という流れで分析しました。

専用の分析ソフトを購入していなくても、

すでに会社に蓄積されているExcelを利用して分析できる

のは大きなメリットだと思います。


最終的には3年間を1つのExcelにまとめた

分析結果は最終的に1つのExcelにまとめました。

内容は、

  • ダッシュボード
  • 年別比較
  • 月別3年比較
  • 品番比較
  • 品番×部品番号比較
  • 増加している部品
  • 減少している部品
  • 新しく増えた部品
  • 3年間継続している部品
  • 部品分類比較

という構成です。

これによって、

「最近どの製品が増えている?」

「この部品、去年も問い合わせが多かった?」

といった確認がかなりしやすくなりました。


次は「見積」と「受注」をつなげたい

今回分析したのは、

見積データ

です。

そのため、見積が増えたからといって実際の売上が増えたとは限りません。

次に行いたいのは、

見積データと受注実績をつなげること

です。

例えば、

  • 見積回数
  • 受注回数
  • 受注率
  • 見積から受注までの日数
  • 見積金額
  • 受注金額
  • リピート周期

などを組み合わせます。

ここまでできれば、

「よく見積依頼は来るけれど受注につながらない仕事」

と、

「見積依頼が来れば高確率で受注する仕事」

を区別できます。

さらにデータが蓄積すれば、

今後受注につながる可能性がある部品を早めに見つける

ところまで発展できるかもしれません。


まとめ|過去の見積書は意外と使えるデータだった

今回、2024~2026年の3年間のExcel見積書を分析してみました。

その結果、

  • 2026年は見積書数が大きく増加
  • 2025年同期比で約37.7%増
  • 一方で品番の種類は減少
  • 特定製品・特定部品への見積集中が進んでいる
  • 一部の部品は前年の2倍以上に増加
  • LANCEPIN系の問い合わせが増加
  • SLIDE CORE系は減少傾向
  • 見積書が1部品単位に細分化している可能性

といったことが分かりました。

普段は、

「見積書を作成して保存して終わり」

になりがちです。

しかし数年分をまとめて分析すると、

過去の見積書は会社の需要変化を確認するための貴重なデータ

になります。

ExcelとChatGPTを組み合わせれば、特別な分析システムがなくてもここまで確認できました。

今後は、

見積分析 → 受注分析 → 受注予測

へと発展させていきたいと思います。

製造業で大量のExcel見積書が蓄積されている会社では、一度分析してみる価値があると思います。


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この記事のポイント

Excelに眠っている過去の見積データをChatGPTで集計するだけでも、需要の変化や繰り返し見積されている部品を見つけられる可能性があります。

「Excelはあるけど分析できていない」という製造業の方には、かなり相性のいい活用方法だと思います。

実際に作業にかかった時間は30分です、30分で3年分の集計が完了したのです、自分で集計したら何日かかるかわからない多分途中でやめていると思います。

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この記事を書いた人

jeneのアバター jene 技術部長

2人の娘を育てる父親のjeneです。
2人の娘と一緒に勉強しています。
週末は娘の好きなごはんを一生懸命に作るけなげなPaPaです。
金型設計責任者をしながら、VABマクロで作業効率化を業務として改善活動に行っています。
コロナ前には県の作業効率化のAI事業案件に採択されて独自AIを作ったこともあります。
このブログでは、実際に試して分かった子育て・学習・仕事改善・AI活用の情報を、初心者の方にも分かりやすく紹介しています。

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